Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme

Aozora Bunko

沼、川、また沼、葦の湿地。曠野の道でいやなものは、水だった。下総の猿島から、武蔵の葛飾、埼玉、足立の方角をとって歩こうとすれば、大河や小さい河は、縦横無尽といっていい。坂東太郎と敬称する大利根の動脈を中心として、水は静脈のように流れているというよりは、この大陸を、暴れまわっているといった方が実際の相に近かった。

「おうい。豊田の童、どこへ、おじゃる?」

旅の二日目。

小次郎は、誰やらに、呼びとめられた。

彼は、うしろの人を見かけると、彼らしくもなく、あわてて馬を降りた。お辞儀もした。

「景行さまで、ございましたか」

「和子。ただ一人で、どこへ行く」

「大叔父のいいつけで、この栗毛を、タネ付けに持って行きます」

「どこの牧への」

「横山ノ牧まで」

「え、横山へ。和子ひとりでか」

「はあ」

景行も、馬上だった。うしろには七、八名の従者をつれていた。……不愍なと、小次郎を見るように、しげしげと、馬の背からながめていたが、

「横山とは、遠すぎる。もう甲斐に近い笹子山のてまえになる。わしは比企の郡司の庁まで行くところだから、あの近くの菅生ノ牧で、良い馬に、種付けしてもらうがいい」