Japanische Klassiker mit Furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme
ひとは皆、知っております事じゃ。それに、万一、お身に怪我などあってはなりませぬ。それこそ、亡きお父上良持様が浮かばれませぬ……」
媼もいう。翁もいう。
あたたかな人心にくるまれ、あたたかな食物に腹をみたし、将門は、ついにその晩は、野霜の具足師の家に寝た。家はなかなか広く、弟子やら召使やらも多く、ゆたかな感じである。そして、寝屋に導かれるとき、どこかで、若い娘の声もした。その美しい声のぬしを想像しながら、将門は、すぐ眠りにおちた。
夜明けに立ちたい、といっておいたので、まだ、朝霧のふかいうちに起された。食事をし、弁当も作ってもらい、家族たちに送られて、門を出るとき、ふと、将門は馬の上から媼のそばにいる十六、七歳の娘を見た。まるで平安の都で見たような娘だった。将門の視線がゆくと、娘は母の肩の蔭へ、身をかくした。朝の陽が、まばゆげな彼女の顔を、鮮らかに、浮かせていた。
「……お帰りがけにも」
と、家族たちがいった。将門はうなずいたが、実は自信がなかった。土塀門の方へ、馬の尾がめぐると、梨丸はすぐ口輪を把った。梨丸も、この道を、もう一度通るでしょうとは誰にもいわない。