Japanische Klassiker mit Furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme
死にはしない」
上で、郎党たちが、いって去ったのが、将門に、聞えていた。が、意識のそのほかの何ものもとらえ得ない。空をさぐっているような気はするが、その手にも知覚がない。
一つの木の根から次の木の根へズルズルと転がった。痛いと、思い、首をもたげることができた。
「……うごいてはだめ。うごいてはいけません。下は、流れですから」
たれか、どこかで、いっている。まったく、時間の経過を無知覚でいたらしい。真っ赤な夕空が、黒杉の梢のすきまを鮮らかにしている。夕露が、肌に沁む。
「いま、行きますからね……。もがかないで」
声が近い。いや近づいてくる。将門は、とろんとした眼を上へ向けた。
一所懸命に、少しずつ、生命がけの冒険に臨んででもいるように、上から降りてくる者がある。昼見た、袿衣の人である。良兼の郎党が、玉虫どのとよんだあの女性にちがいない。
「あ……?」愕然とし、おもわず、将門は下から、
「あぶない」と、さけんだ。
さけぶまでに、意識がはっきりすると、全身の痛みも、熱をおびて、彼を、唸かせた。大きく、何度も唸った。唸ると、楽である。
玉虫は、ついにそばまで、降りて来た。