Japanische Klassiker mit Furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme
下総、上総、常陸、下野、武蔵――と見わたしても、これほどな馬数と、また、豊かな墾田と、さらに、まだまだ無限な開拓をまつ広大な処女地とを、領有している豪族といっては、そうたくさんは、あるものじゃない。
「――いいか、おまえは、その跡目をつぐ、総領息子であるのだぞ」
と、死んだ父の良持が、生前、よくいっていたことばを、相馬の小次郎は、ここへ来ると思い出した。牧の丘に、坐りこんで、ぽかんと、父の声の、あの日この日を思い出しているのが、なにかしら、楽しみでもあったのだ。
そんな時。――行く雲を見るともなく見ている眼から、急に、ぽろぽろと、涙を奔らせ、鼻みずを垂らし、しまいには、顔をくしゃくしゃにして、独り、声をあげて、泣き出してしまうことがあった。
ここでは、いくら泣いていても、なだめてもなし、怪訝る者もいなかった。彼は、自然に泣きおさまるまで、自分を泣かせて、やがて、嗚咽が止まると、忘れたように、けろりと、太陽に顔を乾かしている。
「御子……。御子うっ」
たれか、遠くで、彼をよんだ。
馬舎働きの男が、丘の下から、手招ぎしていた。飯時を告げるのであった。小次郎は、首を振って見せた。