Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme
「おお、おまえは、江口の……」
「お覚えでございましたでしょうか。江口の草笛でございまする」
「ああ。これは意外な」
将門は、心から、そういって十余年の過ぎた日を、思わず詠歎した。
「――女はいつまで、変らないものだなあ。わが身の方は、こんなにも変ったが」
「いいえ。あなた様も、すこしもお変りになりませぬ。ほんとに、そうお変りになっていらっしゃいません」
「いや。そうでもあるまい。まだ都では、あの頃、右大臣家の小舎人か、滝口の小次郎であったはずだ。以来、坂東の野に帰って、悲雨惨風に打ち叩かれた将門。顔も心も、むかしのようではない」
「お心が変られたと仰っしゃるなら、それは私には分りませんが……」
草笛は、ふと、拗ねたような、そして、淋しさに泣きたいような顔になった。それを、やにわに、酒にかくそうとするもののように、杯をとりかけると、不死人が、
「おいおい。さっそくの痴話口説はよしてくれ。杯を、相馬殿にお差しせぬのか。――将門、いや相馬殿。なつかしいなあ、江口の里は」
「忘れてしまった。もう……まったく遠い夢のようでしかない」
「そうであろう。じつは……さもこそ、淋しくお在さめと、純友殿から、その草笛と、ほか三人の遊君たちも、其許への、貢としてお贈りになったものだ。