Japanische Klassiker mit Furigana
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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme
いつ威嚇したか。――御辺の部下のために、わざわざ、穏便な話し合いをつけに来たものを、威嚇とは、何事だ。おいッ、何とかいえ、維茂どの」
不死人は、だんだんに声を荒らげた。努めて、相手の激発を誘おうと仕掛けてゆく。
しかし、さすがに、国司の維茂は、その手には乗って来ない。怒りの代りに、にゅっと、無理な笑いをたたえて見せる。――老練だな、と不死人は見たので、ついに暴言を承知で「……おいッ、何とかいえ」と、一喝を放ってみたのである。そしてわざと、語気にふさわしい眼気も示して、為憲の顔を見ていったのである。
果たせるかな、為憲はすぐそれに引っ懸って来た。維茂が何かいうまもあらず、火を呼んだ油壺のように、くわっと口を開いた。
「だまれっ。先刻からいわしておけば、好き勝手な小理屈をひねくり廻す奴めが。――わずか一小吏の扱い事に、仰山な兵馬を進め、しかも、挨拶もなく常陸の国土へ踏みこんで来るとは何事だ。それでも、威嚇でないといえるか」
「お。いわれたな。……いわれたのは御子息為憲どのか」不死人は、その不気味なほど動じない面構えに、ニコと冷笑をうかべた。彼にとって、この血気らしい息子は、好餌に見えたにちがいない。