Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
Lesen Sie 平の将門 (たいらのまさかど) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.193 Zeichen · 463 Bildschirme
「出かけよう。いや、豊田の館へ、引揚げよう。……もう、桔梗のいた奥の館も、和子の乳の香がしみていた部屋も、あとかたはなく新しい木の香になってしまったが、それでも、豊田の家に眠っていると、そこはかとなく、在りし日のことが夢にも通ってくる。――さあ、ここを立つぞ。女ども、下着を出せ。具足を出せ」
それは、独り言なのか、そこらの女たちに命じているのか、分らない口調であったし、起き抜けだというのに、ひどく腹立ちっぽい荒々しさがこもっていた。
「まだ、きのうの酔いが、宿酔となって、よくお醒めになっていないらしい」
女たちは、畏怖して、ささやき合った。
侍臣を、呼び立て、将頼や将平たちにも、出立の用意を伝えさせる。
兵は、愕いた。――朝の兵糧をとれという命令はなく、すぐ、馬を立て並べろとある。
将門は、恐い顔をして、馬上になった。――頭上には、まだ、朝の月がある。
でも、ようやく、三軍が揃って、大宝八幡の社前から、蜿々と、四陣の兵が、序に順って、ゆるぎだしたときは、もう春らしい朝の陽が、大地にこぼれ出していた。
将門は、諸将の馬にかこまれて、むっそりと、苦々しい眉をひそめながら、門前町の辻を、街道の方へ、ゆらゆら、馬首を向けて行った。