Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
その時、行手の薄の蔭から、それらしい姿が見えて来た。木の葉の着物を身に纏い、あかざの杖を手について、静かに歩む老人姿。
才蔵は思わず呼びかけた。
「お師匠様ではございませぬか」
「おお才蔵か」とその老人は――百地三太夫は微笑を含み、才蔵と並んで歩いて行く。
「伊那家のお館へ毎夜毎夜現われたという物の怪は、どんな物の怪でございましたか?」
才蔵はそっと訊くのであった。
「私が推量していた通り、大盗人の五右衛門じゃ」
「石川五右衛門でございましたか?」
「いかにも石川五右衛門じゃよ」
「五右衛門は何んと致しました?」
「お三婆が吹筒に乗って、五右衛門を助けに飛んで来た」
「それから二人はどうしました?」
「吹筒に乗って飛び去ったまで……」
「どこへ行ったのでございましょう?」
「ここらあたりにいるかもしれぬ」
「え」と才蔵は目を見張った。
「昔、市原野の鬼童丸は、牛の生皮を引き冠り、平井保昌を狙ったとか、今この秋野を見渡せば伊那駒多く放し飼いの、その中に死んでいる二つの駒、疑わしいのはこの黒駒じゃ! 才蔵決して油断すなよ!」
三太夫の言葉の終わらぬうちに、二匹の伏したる黒駒は、がばと毛皮を振り落とし、スックと立った嫗と若武者。