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Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

鳰鳥はスルスルと座を進んで、その武士と向かい合った。

と、白髯の武士は片頬に笑みを浮かべながら、

「聞き及ぶ鳰鳥とはこの女子か。噂に増して美しい。さ、この盃を遣わそうぞ」こう云って手に持った盃を、鳰鳥の前へ差し出した。

鳰鳥は恭しくそれを受けて、なみなみと酒を注がせたが、そのまま盃を下に置いた。

白髯の武士は見咎めた。

「鳰鳥、盃をなぜ干さぬ」

「はい」と鳰鳥は微笑して、「お酒は嫌いでございます」

「嫌いでも構わぬ、飲むがよい」

「お酒は嫌いでございます」鳰鳥は臆めずにまた云った。

「嫌いでも構わぬ、飲めと云うに」

「お酒は嫌いでございます」

鳰鳥は情剛く云い切った。一座はにわかに白けわたり武士達は互いに眼を見合わせた。

白髯の武士はその額に癇癪の筋を現わしたが、

「それでは何か、その盃を、どうしても干さぬと云うのじゃな※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

「一つお願いがございます」鳰鳥は笑って云うのであった。「願いをおききくださるなら、この盃を干しましょう」

「どんな願いか、云うがよい」

「お名前をお聴かせくださいまし」

「俺の名前を聞きたいと云うか?」

「お名前をお聞かせくださいまし」