Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

修験者はノシノシ歩き出した。

しばらく行くと眼の前に岩窟の口があらわれた。すかして見ると窟内で焚火がトロトロと燃えている。

「いざ、客人はいられい」

修験者は真面目にこう云って自分から先へはいって行った。そして焚火を前にして牀机に腰をまずかけた。焚火の前には彼より先に熊の胴服を寛々と着て小手脛当で身を鎧った、頬髯の黒い、総髪の一人の荒武者が腰かけていたが、数馬、武兵衛の姿を見ると審かしそうな顔付きをして物問いたげに修験者の方へ鷲のような眼をツト走らせた。

「心配はいらぬ。客人じゃ。雪の山道に迷われた仁じゃ」

すると胴服の荒武者は、武兵衛へその眼を注いだが、

「この寒中の深山を、裸体一貫で寒気もなく歩き廻わるとは驚いた奴だな。ちゃっと焚火に当たるがよいわ」

武兵衛と数馬は一礼して焚火に向かって座を占めた。

と、四人ともしばし無言で、互いに相手を見合っていた。

修験者はやがておもむろに二人の者へ話しかけた。

「まず若衆からお訊きしよう――そなたいずれの産まれじゃな?」

隠しても駄目だと思ったので、数馬は正直に返答した。

「某は信州上田在、船巻村の郷士でござる」