Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
つまり一切木戸がないのじゃ。しかし全然木戸がなければ、人々の出入りが出来ない筈。しかるにいずれも出入りをしている。これは木戸がある証拠じゃ。ないと見せてあり、ありと見せてない。変幻出没自由自在、ここらがこの城の値打ちとも云える。そこで我々が何より先に発見しなければならない事は、その幾個かの木戸口じゃが、恐らく地下にでも通じているのであろう」
「どうして見付けるのでございますか?」
市之丞は熱心に訊いた。
「番兵どもの隙を窺い、歩き廻わって見付けるより、他には方法もなさそうじゃよ」
「それではすぐに見付けましょう。ねえ老師様、すぐ見付けましょう」
性急に芳江もこう云った。
「いやいや昼間は駄目でござるよ。夜まで待つことに致しましょうぞ」
オースチン師はこう云うと柱に倚りかかって眠り出した。
こうして長い春の日がやがて午になり夕暮れになった。そしてとうとう夜になった。
と老師は立ち上がり、まず物見をすると云って、二人を部屋に残したまま、静かに廊下の方へ出て行った。今度は廻廊を右にとり、跫音を盗んで歩いて行く。
城内は森然と静まり返り、何んの物音も聞こえない。