Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
他ならぬそれは紋十郎で、彼は上座に胡座を掻き、さっきからいかにも不機嫌そうに、ジロジロ座中を睨め廻わしていたが、とうとうこの時怒鳴り出したのであった。
「何が面白くてはしゃぐのじゃい! 俺はちっとも面白うないわい! どいつもこいつもヤクザの奴ばらじゃ。俺の不機嫌が解らぬのか! ……全体島君はどこへうせたのじゃ」
「おおそうそう島君さんは、どこへいつの間に消えたのであろうぞ」
千寿というのが合槌を打って、それとなく花桐の顔を見た。しかし花桐は顔をそむけ何んともそれには答えなかった。
「声を揃えて呼んで見ましょうぞ。どこぞで返辞をなさろうも知れぬ」
こんなとぼけたことを云い出したのは、剽軽者の亀菊である。
「おお、おおそれもようござんしょう。さあ呼びましょうぞ、呼びましょうぞ」
千寿はここでも合槌を打ち、声を揃えて呼び立てた。
もちろんどこからも返辞がない。
「阿呆らしい事おいてくれ!」紋十郎は益※(二の字点、1-2-22)機嫌悪く、「えい、誰か早く出て行って、館中、隈なく探がすがよい」
「それでは妾が……」と、花桐が、スラリと立って出て行った。もうその後は座中一体白け渡って言葉もない。