Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
「偽り云わぬ右衛門さんが、ああまで確く云うからは兄さんの謀反は決定った! 妹の妾が恐ろしく、仲間の家を泊まり歩き、妾に逢うまい逢うまいとして、今日まで逃げ隠れしていた事も、心に疚しさがあったからじゃ! もうちょっとの猶予も出来ぬ。和佐保へ駈け付けこの利鎌を、突き付けて自害を勧めねばならぬ! 天の神様、地の神様! どうぞ憐みくださりませ」
お吉は鎌を右手に握り麓を指して走りかかったが、暗さは暗し道は悪し、またもや人に衝突った。
「あっ」――「あっ」――と同じように、驚きの声を発したが、どちらも急ぎの用と見えて、そのまま無言で行き違ったが、擦れ違う刹那見交した顔は、淡い星影に照らされて、互いにそれと気付いたらしい。
「お待ち!」とお吉は呼び止めた。「お前は島君女郎よな、妾に何んで衝突った」
「おおお前はお吉女郎! 道の暗さについうっかり、衝突ったはお互いの粗忽、何も咎められる点はない……妾は少し急ぐ故これでご免」と走り出す。
「やらぬ!」
とお吉は引き戻し、「急ぐお前の用事というのは妾にはおおかた解っている。右衛門さんを追うのでもあろう」
「おおいかにもその通り、右衛門さんに追い付いて、云わねばならぬ事がある。