Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

、仲間の家を宿り歩き自分の家へは帰ってござらぬ。他に証拠は何んにもいらぬ。もうこれだけで沢山でござんす。悪い企みをしている証拠! 動きの取れない証拠でござんす! 何が不足、何が不満で聞くも恐ろしい謀反沙汰内通沙汰をなされたのか? ああ否々それを聞いたとて今は仕方ござんせぬ。縄目の恥を見た上で矢衾にかかって死ぬるよりも、さあ今ここで死んでくだされ! と云うて兄さん一人だけを決して殺しはいたしませぬ。すぐに妾も死んで行きます。……この住みなれた葡萄大谷、近頃までは恋しいお方もあった。それもこれも今の妾には昔語りとなってしもうた! 何が楽しみに妾一人後に残って生きていましょう。兄妹ここで死んだならさすが謀反を企むだけあって、その最期も立派であったと部落の人達に褒められもし、憐れみの掛かることもあろう、葬ってくださるお方もあろうに、おめおめ刑死しようものなら、死所を踏み違った未練者と多くの人に嘲笑れたあげく、屍は野山に捨てられて鳥や獣の餌食となり、地獄へ堕ちても苛責の罪、生々世々浮かぶ時なく悲しいことではござんせぬか! 兄一人妹一人他に親も親戚もないのはこういう時には何より幸い、この世に残る妄執もなく、笑って死んで行けまする。