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Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

――こう心では思いながら、襲い来る眠りには打ち勝ち難く、彼女は昏々と眠りに墜ちた。

彼女は何に驚いたものかパッと眼をさまして飛び起きた。篠つく雨に風さえ加わり山は大暴風雨になっていた。

彼女は少し眠ったためかいくらか体が楽になった。彼女はやにわに走り出した。と、スルリと道に辷り仰ざまに投げ出された。道の泥濘で辷ったのである。それにも滅気ず刎ね起きてまたもや彼女は走り出したが、道は辷って歩き難く、雨に濡れた体は悪寒に顫え、歩く足も次第によろめき出した。

おりから駈け来る人の跫音が下の方から聞こえて来た。

「紋十郎めに追い付かれた!」

彼女は今は絶体絶命、失望に眼も眩みかけたが、遁がれるだけは遁がれて見ようと隈笹の中へ飛び込んで息をひそめて窺った。はたして現われたのは紋十郎で、彼女がそこにいるとも知らぬか阿修羅のような姿をして峠を上の方へ走って行った。その跫音も遠ざかりやがて全く聞こえなくなった。

彼女はホッと吐息して隈笹の中から走り出たがもう意地にも歩けなくなった。道の真ん中へバタバタと泥にまみれながらくず折れた。

「神も仏もない世であろうか。右衛門さんが殺されるのに妾は一足も歩くことが出来ない。