Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
彼らの踊りは単調であった。手を上げたり足を上げたり、先へ進んだり後へ退がったり、さも疲労れたというようにノロノロ楠の木を廻わるのであった。
と、彼らは踊り止めた。
それは緑色の衣を着て長い白髪を肩へ垂れた老年の妖婆が輪から離れ、朽木の切り株へ腰をかけ悲しそうに泣き出したからである。
妖精どもは集まって来た。妖婆の周囲を取り巻いてじっと黙って佇んでいる。高い高い蒼空から木々の群葉の隙を分けてたった一筋射して来た黄金色の陽の光が、泣いている妖婆の涙を照らし、それが銀のように光って見えるのが、一層光景を淋しいものにする。やがて妖婆は泣き止んだ。四辺はにわかに寂然となる。
その時、一人の妖精がふとこう云って呟いた。
「ああ俺は踊りつかれた。いつから俺達は踊っているのだろう」
「空に心細い風が吹き、森に花が散った頃から。……千年の昔から」
妖精の一人がこう答えた。
「もう妾は踊り疲労れた。もう妾は唄い疲労れた」
こう云ったのは未だ若い非常に美貌の乙女であった。すなわち山桜の精である。
「お婆さん」
と美しい桜の精は、泣き止んだ妖婆へ話しかけた。
「何が悲しくて泣くのだえ? 今日はおめでたい日じゃないか」