Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

甚五衛門は憎しげに嘲笑ってそのまま奥へ行こうとした。

「父上!」と右門は血相変えて、甚五衛門の裾をまた掴んだ。「そのお言葉はお父上のご本心からでございますか?」

「本心でなかったら何んとする!」

「私、お諫言申し上げます!」

「何、この俺に諫言する! それでは、何か、殿へだけでは、諫言足らぬと云うのじゃな。殿へも諫言! 父へも諫言! いやはや諫言の鉢合わせじゃ! その方がそのように好くからには、諫言というその代物、うまい味のものででもあると見える……がしかしどのようなご馳走でも、満腹以上に詰め込まれてはせっかくの味も消えてしまう。アッハッハッ」と甚五衛門は取られた袴の裾を払い、悠々奥へ入ろうとした。

右門はしかし離さなかった。

「天魔にでも魅入られ遊ばされたか、父上の只今のそのお言葉! それにしても昨日までのお父上は、殿のご乱行につかれましてもこの私などよりはもっともっと、お心に掛けられておられまして、時々ご諫言も申し上げた筈、それだのにたった一夜の違いで、その諫言という言葉をさえ真面目に取らぬほどのお変わりよう。嘆いてよいか泣いてよいか、この私にはお心持ちが、少しも解らないのでございます」