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Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

逃げ行く彼らを尚追うように、洞窟の中からは孔雀経が尚朗々として聞こえて来た。

「南麼、三曼多、勃駄喃、薩婆、勃駄菩提、薩恒縛、千粟駄耶、惹吠奢爾、南麼薩婆、尾帝莎訶」

とうとう後には馬に乗った鬼王丸だけが残されたが、その馬さえ主人を振り落とし林の中へ逃げて行った。

と、読経の声が絶え、窟の口へ百地三太夫神彩奕々として現われたが、

「鬼王丸、機嫌はいかに?」

揶揄するように声を掛けた。

怒り心頭に発したとは正にこの時の鬼王丸の事、丈に余る白髪を一本一本逆立てんばかり、はたと三太夫を睨んだが、

「さてもさても憎い奴よな、えい名を宣れ、名を宣りおろう!」

「我こそ百地三太夫よ!」

「妖術使いとは汝のことか!」

「妖術はすなわち兵の奇道。正と奇とは車の両輪。我こそ日本の兵学者じゃ!」

「我が眷族を何故追ったぞ!」

「金剛孔雀経を誦したまでよ」

「その孔雀経なぜ誦した!」

「悪魔怨敵退散のためにな」

「問答無益、いざ勝負せい!」

鬼王丸は太刀を抜いた。

「既に勝負は定まっているわい」

百地三太夫平然と云う。

「黙れ! 臆したか! いざ立ち合え!」

「待て!」

と云うと懐中から一個の小笛を取り出した。