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Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

「あなたは悪人でございます」

「獣から悪人に出世したな」

「悪人! 獣! 夜叉! 血吸鬼!」

「おお立派な形容詞だ! 何んとでも云え! 何んとでも云え! 俺はお前の体が欲しい! 俺はお前の貞操が欲しい! 俺はお前を蹂躙してやりたい!」

左陣は小枝へ掴みかかった。

しかし小枝は動かない。まして周章てはしなかった。

凝然と左陣を見守った。

邪悪なるものと清浄なるものとが今やピッタリ顔を合わせ互いに相手を睨まえたのである。

――危険な息苦しい一瞬間である。

と、左陣は手を放した。

そうして彼は呟いた。

「ああ、あなたは清すぎる。あああなたは清すぎる!」

「お坐りなされませ、よいお方」

こう小枝は囁いたが労るような声である。

清浄なるものが勝ったのである。

小者に付き添われた小枝姫が、元の飯場へ帰ったのは、それから間もなくのことであった。

こうして山寨の夜が更け、次第に払暁に近寄って行った。

と、その時、思いもよらず、水晶山とは反対の、麓の方から鬨の声が、ドッとばかりに湧き起こった。

迫る武者押し

「ハテな?」

と左陣は耳を澄ましたが、

「これは不思議、何者であろう?」