Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
と、行手から人影が、息せき切って走って来た。まさに鳰鳥と擦れ違おうとした時、
「や、お前、お六じゃないか?」
その人影は声を掛けた。明るい秋の月影でその男をすかして見ると、キリッとした好男子だ。
「お前は誰?」
と鳰鳥は訊いた。
「オイ、お六坊どうしたものだ。従兄の俺を忘れるとは、アッハハハどうかしているな?」
「ああそうそう次郎さんだったね」
鳰鳥はクスクス笑いながら出鱈目の名を呼んで見た。
「じょ、じょ、冗談じゃねえ勘介だよ」
「ああそうそう勘介さんだったね」
「どうもこいつアやり切れねえなあ。勘介さんだもねえものだ。が、マアそれはどうでもいい。実はお袋に聞いて見ると、お館様の催しの踊りへ行ったというじゃねえか。しかもたった一人でよ。こいつにゃ俺も驚いた。お前の縹緻へ目をかけて、付け狙っている悪い奴らが、宿の中にも二、三人はいる。そいつアお前も知ってる筈だ。それだのにノコノコ出かけるとは、呆れて物が云えなかったが、と云ってうっちゃっても置かれねえ。そこで俺は大急ぎで迎いに来たというものさ。だがマア無事で安心した。さあさあ一緒に帰ろうぜ」
勘介という若い男は叱るように云うのであった。