Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
再び忍び音に呼びかけた。しかしやっぱり返辞がない。
甚五衛門は足早に宝蔵の前へ歩み寄った。それから四方を見廻わした。と見ると足もとの大地の上に宝蔵お守りの若侍が、手足を左右に延ばしたなりで、鼾をかいて眠っている。
甚五衛門は呆れながら、それでも二人を引き起こし、
「源十、左馬也、白痴者めが! 大事の役目を持っていながら、前後を忘れて眠るとは、頼み甲斐のない奴ばらだな! えい、眼を醒ませ! 醒ませというに!」
云いながら二人を揺り動かしたが、不思議にも二人とも眼醒めない。深い睡眠へ昏々と益※(二の字点、1-2-22)落ち入って行くのであった。
甚五衛門はそこでじっと、二人の様子を見守ったが、思わず「あッ」と声をあげた。
「これは尋常の眠りではない! 五更呪縛の妖術によって睡眠の中へ引き込まれ、前後を失ったに相違ない! それにしてもいったい何奴めが、かかる妖術を使ったものぞ」
容易ならない曲事と、甚五衛門は身を固めきっと天地を見廻わした。
不思議なるかな、その一刹那、宝蔵の扉の正面へ、人影朦朧と浮かび出て、次第次第にその人影は空に向かって立ち昇る。忽ち、宝蔵の屋根を越え、月も星も見えぬ夜の空の、数丈の高さに昇ると見る間に、今まで朦朧たるその人影は、煙火の如く虹の如く、燦々たる光を纏うと共に、紫匂う振り袖に、東雲