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Japanische Klassiker mit Furigana

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つたかずらきそのかけはし

蔦葛木曽棧

国枝 史郎

Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme

Aozora Bunko

遁がしはせまい。吾らも汝らを許しはせぬ。一人二人は面倒だ、八人一度にかかって来よや!」

花村右門は叫ぶと共に大刀キラリと抜き放し八人を眼がけて躍り込んだ。妻の山吹も懐刀を抜き後につづいて突き進んだ。

八人の野武士も刀を抜き、既に問答無益とばかり、右門と山吹を取りこめて、ここにかしこに斬り結んだ。

月は見えねど雪明かりで、互いの姿はよく見えた。いつか焚火も踏み消され、川面を渡って吹き上がる嵐に、蹴散らされた雪が鵞毛の如く、濛々と四方に渦を巻く。

右門は既に二人の敵を生死は知らねど斬り仆し、頭領めがけて斬りかかった。しかし相手の頭領も幾度か戦場の血煙りを浴びて物捕り功名をしたことのある進退老巧の武士と覚しく、打つ太刀引く太刀妙を極わめ、ともすると右門は斬り立てられた。

その時、あッと後ろの方で女の叫ぶ声がした。右門は思わずうしろを振り向くと、はたして妻の山吹が三人の野武士に取り巻かれ、持っていた懐刀を打ち落とされ、生捕りにならんばかりである。

「山吹!」と思わず叫んだ時、心の乱れが体の乱れ、そこをあたかも電光のように頭領の刃が斬り込んだ。

発止と受けは受けたものの、ズルズルと後へ退った刹那、足踏み外して真っ逆様、幾丈と高い断崖から、氷張り詰めた千曲川へ、「無念!」