Japanische Klassiker mit Furigana
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つたかずらきそのかけはし
蔦葛木曽棧
国枝 史郎
Lesen Sie 蔦葛木曽棧 (つたかずらきそのかけはし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 335.908 Zeichen · 669 Bildschirme
幸い今日はよい折がら、お差し支えないようでございましたらお身の上をお話しくださるよう」
「お尋ねで恐縮いたします」侍は恭しく頭を下げ、「とくより申さねばならぬ筈を、今日まで物語りも致しませず、さぞかし物の心得のない不作法者とも覚し召しお蔑すみなされたでございましょうが、何をお隠し致しましょう、私事は木曽家の執事花村甚五衛門の長男の花村右門と申す者……」
「何※(感嘆符疑問符、1-8-78)」と婦はそれを聞くとその顔色を颯と変え、「それではあなたには木曽のお館義明公の執事職主人勝りの智恵者といわれた花村殿のご子息の右門殿と申されるか」
右門は忽ち顔色を変えた婦の様子を審かし気に、じろりとばかり眺めたが、
「いかにも木曽家の花村右門。忽ち顔色を変えられたは何か理由でもござるかな?」
婦は心を取り直したか、変わった顔色を元へ返し、さり気ない様子に微笑をした。
「何んの理由などございますものか。木曽家と申せば大領主、そのご家中と聞きましたので、ただ感心を致したまで、他に不思議はございません――それにしても木曽家のご家臣がどういう訳で篠井あたりを旅しておられたのでございます?」