Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

それからの騒ぎは書くまでもありません。幸い傷は浅かったので、用意の焼酎で洗って、晒でグルグル巻くと、寝呆けたお駒を叩き起して、町内の外科を呼ばせました。

少し落着いたところで、いろいろ訊いてみましたが、ただ、雨戸を開けると同時に、一団の白い吹雪を顔へ叩き付けられたように覚えると、額から頬へ、焼鏝を当てられたように感じて引っくり返ったというだけの事、誰が斬って、どうして逃げたかまるっきり見当も付かない始末です。

翌る朝、神田から銭形の平次が駆け付け、三輪の万七もやって来ましたが、庭の足跡は、踏み荒らされない代り、今度は雪に埋まってしまって、八五郎が入ったのも定かでない有様、曲者はどこから来て、どこへ逃げたか、嗅ぎ出す手掛りというものは一つもありません。

さんざん責めたが、何としても白状をしない与次郎は、これを機会に許されて帰りました。お市を殺したのも、佐吉を襲ったのも、手口は全く同じことですから、三輪の万七も、このうえ与次郎を責める口実もありません。

それに、銭形の平次は、

「三輪の、そう言っちゃ済まないが、下手人は左利きじゃないよ」

と言い出したものです。