Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
「ないね、三輪の親分」
とガラッ八。
「俺は二た刻も前から三度も寺内を捜したんだぜ。ないことはとうに判っているよ。泥棒が内に居るものなら、千両箱を三つも持ち出した上、御丁寧に外から潜戸をこじ開けて入って、知らん顔をしていたことになるぜ、八兄哥」
万七の言うのは尤もでした。
それから寺内の人を一人一人呼び出して貰って逢いましたが、三千両の大金を盗み出しそうなのは一人もありません。
住職は六十を越した老僧で、末寺ながら上野では幅の利いた高徳、外に寺男の弥十老人と、小坊主が二人、それに檀家から預かっているお類という年増女が一人、――年増というとあだっぽく聞えますが、唐臼を踏むような大跛足で、渋紙色の顔には、左の頬から鬢へかけて、大火傷の痕がある上、髪は玉蜀黍の毛のような女――、年こそ三十前後ですが、これはまたあまりに痛々しい容貌です。
「厚木在から来ているということだが、飯を炊くより外に能のない女だ、当ってみるがいい」
「当るのは構わねえが、惚れられでもすると大変だぜ、八兄哥」
お神楽の清吉は横合から嘴を入れました。
八五郎も一応はこの飯炊き女を疑いましたが、不容貌で、そのうえ小柄で、ボロ切れのような見る影もない姿を見せつけられると、つまみ喰い以上の悪事などは出来そうにも思われません。