Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
「有難いね、だから金はふんだんに持っていたいよ」
「穴の明いた銭じゃ金のうちに入らないよ」
「へッ、見透しだね、親分、さすがは銭形――」
「馬鹿、今朝、お静を拝んで借りていたじゃないか」
「あッ、それも承知か」
平次はガラッ八のとぼけた声を後に、柳橋に向いました。例の茶店にはお通も母親も居りましたが、八五郎の報告以上に、ここでも何にも解りません。
「お通、相変らず綺麗だね」
「あれ、親分さん」
「ところで一昨日の昼頃、大夕立と喧嘩と、大金と一緒に来たんだってね」
「吃驚しましたわ、あの時は」
「三千両の釣台はどこに置いたんだ。最初は店先、喧嘩が始まったんで奥へ入れた――なるほどね。それから大雨だろう、――雨が先か、喧嘩が先か、三千両の釣台が先か」
「釣台が入ると間もなく喧嘩で、あっという間もなく大夕立でした」
「雨がすっかり上がってから釣台は出かけたろう」
「え」
「千両箱が濡れるような事はなかったはずだね」
「そんな事はありません」
清養寺の床の間の汚点の記憶が、はっきり平次の頭に蘇ったのです。
茶店の裏はすぐ神田川ですが、少しばかりの崖になって、折からの上げ汐が、ヒタヒタと石垣を洗っております。