Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

「まだかい、お染さん」

「シッ、二階には番頭さんが泊っている、静かにしておくれ。お前さんなんかを引入れた事が知れると大変なことになるよ」

「人間はそれっきりか」

「裏の方には、爺やの六兵衛が寝てますが、これは離れているし、寝酒がきいているから、眼なんか覚めはしない」

「重三とかいった手代は?」

「今晩は本町の店に泊っているし、店卸しで忙しいとさ」

これだけ話しているうちに、廊下は尽きて、先代が信心と物好きで、奥の一と間へしつらえた、大仏壇のある部屋の前に着いておりました。

「お嬢様」

「お染かい」

中から、これも待っていたように、薄明りの廊下の中に滑り出たのは、美しいとも何とも、言いようのないお雛の寝巻姿、疋田鹿の子の長襦袢に、麻の葉の扱帯を締めて、大きい島田を、少し重く傾げた、たけた姿は、ガラッ八が見馴れた種類の女ではありません。それはあまりに美しく、悩ましい姿だったのです。

「八五郎さん、お坊っちゃまが眼をお覚しになると悪いから、ソッと入って様子を見ていて下さいよ。今晩は番頭さんが泊っているから、またきっと、何か始まるに相違ない――」

「…………」

ガラッ八は黙って部屋の中へ入りました。