Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
下手人は、大きい声では言えないが、番頭の佐吉か、亡くなった主人の義弟の六郎か、妹のお里か、この三人のうちだ。――金之丞さん、よく気を付けて下さい」
「ヘエ――」
平次はこんなことを囁くと、先に立って、そこから一番近い下男部屋を覗きました。
「爺やさん、お前さん何とか言いなすったね。先刻は御苦労」
「仁助と申しますよ。ヘエ、一生懸命駆けましたが、若い人の足には敵いません」
平次の家から帰って、もう四半刻(三十分)以上も経ちますが、爺やはまだ打ちのめされたようになっております。
「お内儀さんが物干から落ちた時、お前さんはここに居たんだね」
「ヘエ、ここには居りましたが、入口は向うですから、見えません」
「声ぐらいは聞いたろう」
「あッとおっしゃったようですよ」
「落ちてからか、落ちる前か」
「落ちてからでございます。ドシンと音がして、それから、あッと、――恐ろしい声でございました」
「よしよし、それだけ判ると大助かりだ」
「左様でございましょうか」
爺やは何となく奥歯に物の挟まったような言いようをします。
「爺やさん、何か考えていることがあるようだね。言ってくれないか」
と平次、汚い下男部屋の上がり框に腰を下ろしてしまいました。