Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.455 Zeichen · 290 Bildschirme
「ところで、縫箔屋の丹次を、お前さんはどう思っていなさるんだ」
平次は治兵衛の饒舌を封じて、問題の中心点に触れて行きます。
「どうも思ってるわけじゃございません」
「お糸さんがどうしても、一緒になりたいと言えば、婿養子にでもする心算だったと言うんだね」
「それはもう親分、世間の解らない父親と違って、母親も亡くなった事だし、大抵のことなら娘の望みを遂げさしてやりますよ」
片親の甘さを遠慮もなくさらけ出して、治兵衛は縫箔屋の道楽息子を、万両分限の跡取りにする気でいる様子です。
「お糸さんに逢いたいが――」
「なにぶん若い娘のことで、親分に物を訊ねられたら、びっくりして何を言い出すか解りません。その辺のことはお手柔かにお願い申しますよ」
そう言いながらも、奥から娘のお糸を呼出させました。
黙って入って来て、黙ってお辞儀をするお糸の様子を、平次はしばらくは黙って見詰めました。箱入娘の十九はお柳やお留よりは若々しく、色白のお人形首ですが、何となく我儘らしい態度があって、物馴れた平次などにはガラッ八ほど高く買えません。
「昨夜縁結びを妻恋様の狐格子に結えたのは誰だい」
平次はいつもにない冷たい調子です。