후리가나로 읽는 일본 고전
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
国枝 史郎의 娘煙術師(むすめえんじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 267,766자 · 530화면
すわっていた床几から腰を上げて、赤い手甲を甲斐甲斐しくはめた、両の手を台の上へしっかりと突いて、肩を前のめりに前へ傾けて顔を紋也の顔へ差しつけ、物をいうごとに頬の後れ毛を、耳の後ろまでひるがえして、こう口説き立てたお粂のようすは、毒婦とも見れば妖婦とも見え、淫婦にさえも見えるのであった。
しかるにそういうお粂と対して、向かい合って腰をかけている、山県紋也の態度というものは冷然として静かであった。みつめている眼にもこれといって、怒りを宿しているのでもなければ、閉じている心にも表情がなく、先刻方眼瞼に現われていた痙攣さえも今はなかった。がもし誰かが注意をして紋也の膝の上を見やったならば、その膝の上で両の手の指を、握ったり放したり揉んだりして、心の内の烈しい動揺を、押さえつけているということを、見のがすことはできなかったであろう。紋也はお粂の言葉によって、事実は感情を嵐のように、掻き立てられ乱され荒らされたのであった。そうしてそれを見せまいとして、強い意志でおさえつけているのであった。
で、二人は黙っている。顔と顔とを突き合わせて、怨み合ってでもいるように、憎み合ってでもいるように、喰らい付きそうにして見合っている。