후리가나로 읽는 일본 고전
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
国枝 史郎의 娘煙術師(むすめえんじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 267,766자 · 530화면
死んだはずの老儒者が?
が、それとてほんの一瞬間で、上眼瞼がすぐに瞳をおおうて、もとの通りの細い眼となった。そうしてあえて叱ろうともせず、ましていわんや振り返ろうともせず変らぬ歩き方で歩き出した。で、すった者はすったまま、すられた者はすられたまま何の事件も起こらずにすれ違ってそのまま別れようとした。
しかし目明しの代官松だけは見過ごしておくことはできなかった。「ありゃア『本郷の殿様』だ、偉いお方をすりゃアがった。こいつアうっちゃってはおかれない!」はじめて捕る気になったらしい。裾を捲くると人波をひらいて、二人の掏摸を追っかけた。と、二人の掏摸であるが、いち早く気配を感じたらしい、一緒に背後を振り返ったが、「姐ご、いけない、目つけられた」「お逃げよ、急いで……まいてやろうよ」これも人波を押しひらき、裾を蹴ひらいて走り出した。
死んだはずの老儒者が?
二人の掏摸が逃げて行くのを、目明しの代官松が追って行く。所は両国の広小路で、人が出盛ってうねっている。逃げるには慣れている掏摸であった。掻いくぐり掻いくぐり逃げて行く。令嬢姿の女掏摸の、衣裳の裾がひるがえり、深紅の蹴出しが渦を巻き、石榴の花弁そっくりである。