후리가나로 읽는 일본 고전
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
国枝 史郎의 娘煙術師(むすめえんじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 267,766자 · 530화면
「まあ?」
「まあ?」
「常日頃から代官松が、兄上をはじめ私たちに、狙いをつけていたことは、私たちにもわかっていた。その代官松が乾児をひきいて、放火焼き討ちを企てながら、水戸様石置き場の空屋敷へ、はいり込んだというからには、五十嵐様のいわれたように、もうこれだけで結構だ、兄上に危害を加えようとして、出張って行ったに相違ない。うっちゃってはおけない! お助けに行こう!」――で、鈴江は走るのであった。火事とはいっても雉子町の往来は、火元とへだたっているがために、立ち騒ぐような人の群れもなく、時々門に出て眺める人や、屋根の上へのぼってようすを見る人が、まれまれにあるばかりであった。しかし火事には付きものの火事見物の弥次馬らしいものが、五人七人かたまって、走って行く姿は見てとれた、空は赤かったが地は蒼かった。
火事の遠照りと月の光とが、おのおのを色づけているからであろう。吹き針を握った右の手を、乳房のあたりへしっかりとあて、褄を取った左の手を下腹部へつけ、裾から洩れる友禅の襲衣を、白い脂肪づいた脛にからませ、走るにつれてぶつかる風に、鬢の毛を乱して背後へなびかせ、これもぶつかる風に流れる、振り袖を長くひらめかして、走って行く鈴江のようすというものは、美女であるだけに凄味があって、狂女を思わせるものがあった。