후리가나로 읽는 일본 고전
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
国枝 史郎의 娘煙術師(むすめえんじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 267,766자 · 530화면
君江を追って
その時老人の声が聞こえた。
「いったいここはどこなんだ!」すっかり酔いのまわり切った、ろれつのまわらない濁声であった。
「誰かと話をしたはずだが、誰と話をしたのやら」
老人も少しずつ歩き出したらしい。声が少しずつ移って行く。
「酔っぱらいの若い女とだった。……が、どんなことを話したやら。……」
少しずつ歩いて行くらしい。声がしだいに移って行く。
「なんだこいつは? 巻き奉書だ! ……おや、こんな綴じ紙がある! ……どこでどうして手に入れたのかな?」しだいに声が遠のいて行く。
「誰かに何かを渡してくれと、誰かに頼まれたはずだったが、誰が誰なのか誰が知るものか」
ここは佐久間町の往来で、月が明るく照らしている。泉嘉門はよろめきながら、往来を西北のほうへ歩いて行く。
君江を追って
と、子守唄の声が聞こえた。
「おや」と嘉門はつぶやいたが、ゆるゆると背後を振り返って見た。夜がふけて月が傾いたからか、落ちていた往来の片側の、家並みの蔭がなくなっていて、往来はことごとく霜の降ったように、白く幅広く縦の帯をなして月光を浴びて延びていた。と、その往来を一個の人影があやつり人形を想わせるように、たよりなげに先へ進んでいた。