후리가나로 읽는 일본 고전
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
国枝 史郎의 娘煙術師(むすめえんじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 267,766자 · 530화면
お粂と鈴江
つづいて紋也は温く柔かく――それが額にのせられた時から、一種のなつかしさと物恋しさと、心の平和とを覚えたところの――温い柔かい物を額へ感じた。
「ああ、いいな、心が和む!」――紋也は半意識の中で、こう思って涙ぐみたくなった。「だがこれはなんだろう?」
燭台の燈火がまばたきながら、下へのばされて白く細く、抜け出ている女の頸足と、それへ崩れてもつれかかって、揺れている女の後れ毛とを、惨しくも見えれば艶かしくも見える、そういうように照らしていて、その下に蒼白の色をした、男の顔のあることを、これも橙黄色に照らしていた。いやいや燈光は、その男の額へ、接吻している女の唇の初々しい顫えをも照らしていた。
と、襖が静かに開いた。
お粂と鈴江
襖をあけてはいって来たのは、紋也の妹の鈴江であった。
「容態はいかがでございましょうか?」
ささやくように訊ねながら、寝ている紋也の足のほうへ、鈴江はしずかにすわったが、不安そうに顔を差しのばすと、紋也の顔をのぞき込んだ。
「口をお動かしなされました。ほんのかすかではありましたが、眼もお開きなさいました。もう大丈夫でございます」
襖が開いたので驚いて、紋也の額にあてていた唇をあわてて離すと顔を上げて、急いでお粂はすわり直したが、こういうと鈴江をまぶしそうに見た。