후리가나로 읽는 일본 고전
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
国枝 史郎의 娘煙術師(むすめえんじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 267,766자 · 530화면
庭が明るくて健康そうだのに、部屋の中の薄暗くて陰気なことは! しかしそういう薄暗さの中に、朱塗りの衣桁が立ててあって、「連歌盗人」の都雅な衣裳が、無造作に掛けられてあるところは、古風で美しい光景であった。その衣桁の足もとのあたりに、幾個かの箱が置いてあったが、面を入れておく箱なのであった。一つの箱の蓋が開いている、箱の底に深々と「泣尼」の面が、上向きに一面置かれてあったが、活きているような上作で、虚の眼が天井を見上げている。鉾だの爼庖丁だの、小道具の類が床に近く、乱雑に投げ出されて置いてもあったが、薄暗い部屋の微光の中で、その太刀の鞘の一本が銀灰色におぼめいているのが、これまた古風に眺められた。で、部屋の中は狼藉としている。
何事かにわかに思い出して、衣裳や面や小道具の類を、一時に引き出して吟味しているうちに、酒が飲みたくなったので、それらの物をうっちゃったままで、酒のほうへかかったものであろう。
明るい庭のほうへ横顔を向けて、盃をなめていた主人の嘉門は、ヒョイとばかりに腕を伸ばすと、黒塗りの膳の向こう側の、畳の上へ盃を置いたが、「太郎冠者殿まず一杯、ご相伴をなされ、ご相伴をなされ」