후리가나로 읽는 일본 고전
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むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
国枝 史郎의 娘煙術師(むすめえんじゅつし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 267,766자 · 530화면
露路の入り口から二、三間ばかりの地点は、横ざしにさし込んでいる月の光のために、かなりハッキリと見えていたが、それから先は暗かったので、見きわめることができなかった。まもなく犬の吠え声もやんだ。
「爺め、この露路へ逃げ込みはしなかったかな?」ふと金兵衛には思われたので、露路口に立ってすかして見たのであったが、やはり真っすぐに佐久間町の往来を、先へ追って行くことにした。こうして佐久間町の通りをはせ過ぎ、代官町の入り口まで来た、しかしその間に老人らしい男の姿らしいものさえ見なかった。「ではやっぱりさっきの爺は、この大通りは通らずに、どこかの露路へでも逃げ込んだのかな?」こう思って金兵衛は力を落としたが、それと一緒に堪え堪えていた、体の衰弱が一時に出て、立っていることさえできなくなった。
「残念だがもうしかたがない。これ以上は俺には追って行かれない」――で、金兵衛はグタグタになって、往来の上へ両膝をついて、首をうなだれて太い息をついた。が、その時人の気勢が行く手にあたって感ぜられたので、首を上げて行く手をすかして見た。すると一人の大兵の男が、こちらをさして歩いて来るのが、月の光に鮮やかに見えた。