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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页

青空文庫

は、この淀川尻の、江口、蟹島、神崎あたりへも、陸の酒を飲みに上っていた。

彼等は、江口、神崎の上客だった。往来の旅人や、公卿などとは、散財ぶりがまるでちがう。

何か、密議をやったあとは、妓たちを交じえて底ぬけの大遊びだった。それも一日や半夜ではない。二日も三日もぶっ通して、酒、女に飽くのであった。

すると、早舟に乗って、六条の留守の巣から、禿鷹が、知らせに来た。

「貞盛が、急に、東国へ立ちましたよ。それに、太政官では、いよいよ、将門を叛逆者とみとめて、征討の令を出すとか、征討大将軍を誰にするとか、評議が始まっているそうですぜ」

不死人は、聞くと、

「そいつは大変だ。こうしてはいられない」

と、俄に、あわてた。

「じゃあ、都では、将門討伐軍が、もう出発すると、騒いでいるんだな」

「いや、まだ、そこまでは行っていません。だらしのない公卿評議ですから、そいつもまた、いつ、立ち消えになるか知れませんがね、まあ、探ってみたところでは、九条師輔や大納言実頼などが、そう運ぼうとしているということなんで」

「貞盛は、その約束を握って、東国へ下ったんだな」

「それだけは、確かでしょう。