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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页
日蔭の弟等
「常陸の大叔父(国香)は、なんといったか。――おれが、帰国したことを」
「そうか……と、いっただけでした。そして、総領の兄も帰った上は、もうわし達を、いつまで、頼っていてはいけない。親戚などは、ないものと思って、働けよ、と仰っしゃいました」
「おまえは、なんと答えたのだ。え、将平」
「……ただ、はい、と挨拶して、一晩、泊めてもらって戻りました」
「ばかにしていやがる」
沸然と、彼の心は、つぶやいた。意地のない弟にも、腹が立ってくる。しかし、将平を見ても、その下の将文、将武を見ても、みなまだ、二十歳そこそこの若者でしかない。老獪な叔父たちの眼からは、まるで、乳くさい赤子にしか見えまい。ムリもない気はするのだった。
「将文は。……筑波の叔父(良正)の所へ、行ったわけか」
「え、よろしく、いいました」
「よろしく? ……。それだけか」
「いえ。兄上にも、落着いたら、遊びに来い。わしも、そのうちに行くと」
「将武。――良兼叔父は、どうした」
「お留守でした。何ですか、新治の館に、およろこびの、招ばれ事があって、お出かけだとか、家人が申しました」
「新治の館とは、誰のやしきか」