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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页

青空文庫

似ている草笛

将平には、いい見学になりました」

「痛い事をいうなよ。それはこの兄のことだ。おれが十年余りの上洛中なども、今思えば、馬鹿世界の見学さ。何の役にも立っていやしない。……あはははは、そういうと、やはり自分は馬鹿とは思っていないようだな」

馬の背と、馬の背とで、兄弟はこんな気軽い話を途々にしていた。

「そうだ、途のついでに、豊田の普請でも見て行こうか」

豊田は、羽鳥の良兼に、焼打ちされた廃墟の旧邸だ。その後、大工事をさせている。以前にまさる大館が、もう八分どおり竣工しかけていた。門前町も、復興していた。

彼は、それを見て、石井ノ柵へ帰り、将頼に会って、笑いばなしをした上、鎌輪の仮屋敷へはいって、旅装を解いた。

すると、家人や弟の将文が、

「お留守中に、都からお客人が来て、べつな棟で、お帰りを待ちますと、毎日、賑やかに滞留しておられます」

と、告げた。

「なに、賑やかに。……誰と誰だ。いったい」

「数年前にも見えられた八坂の不死人殿と、そして今度は、幾名もの下郎と、なお四人の女性をお連れになって、同勢、十人ほどもございましょうか」

「ふうむ? ……あの不死人がか」

不死人と聞けば、妙に、なつかしくもあり、重くるしい圧迫も感じてくる。