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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页
矢風
矢風
不死人が、一同の雑言を、叱っていうには、
「天子の多くは、愚蒙だというのは、当らない。仁徳帝は、申すも畏い。桓武天皇は、おれたちの世の今、さっそく現われてくれればいいような名天子であった。つまりは、そのときの朝臣輩にもよるんだ。藤原全盛ってやつが、そもそも、天下を紊乱し始めた原因だ。せっかく、行われた大化の革新も、でたらめ制度に堕し、個人が私田や私兵を持つことは禁ずという根本の国政を、てめえたちの栄達を分け取りするために、めちゃくちゃにしてしまやがった」
と、眦をさいて痛罵し、なお、濁み酒をあおっていいつづけた。「さ……。それからの、地方の混乱と、都の腐れ方だ。大臣、関白からして、土地国有を無視し、諸国に私田を蓄めこんで、私に租税をしぼり取ってるのだ。地方の郡司や国司など、もちろんいい事にして、まねするさ。寺だって、神社だって、やらなければ損という気になるのは当りめえだ。いや、都から地方へ派遣された役人でも、公卿でも、親王でも、またその一類の地方吏でも、こいつあ、田舎にいて、しこたま、私田を持ち、私兵を飼い、仕たい放題をやって、一生を暮した方が賢明だとなるから、みろ、押領使だの、権守だのなんだの、かんだのと、任命されて、任地へ下って行った役人共は、みんな、中央から呼びをかけても、口実を作って、都へ帰っ