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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页

青空文庫

滝口の下※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)

その中の、草笛の顔一ツだけしか、小次郎の眼には、残らなかった。

滝口の下※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)

「これ。小次郎――」と、ある折、忠平は、彼にむかって咎め出した。

「聞くところに依ると、そちは近頃、しばしば、公務を欠いて、幾夜も、館を空けるそうだの。――言語道断な」

嘘ではない。小次郎は、恐れ入って、額ずいてしまうだけだった。

「いったい、どこの誰と、江口へなど、通い始めたのか。遊びの物代など、どこから出るのか。怪態ではあるぞ。それを、明らさまに述べねば、捨ておかれぬ。……ありのままを申せ。ありのままを」

「申しまする。……が、大臣には、たれから、そんな事をお耳に入れ遊ばしましたか」

「左様なことは、訊かいでもいい。そちのいう事をいえ。そちの、身の明しを」

「実は……」と、小次郎は、嘘を考えたが、面倒くさくなってしまって、求められる通り、こういってしまった。

「後の月、初めて、江口へ誘われました。それは、親しい友が、伊予ノ国へ帰るので、送別のため、彼処の水亭に、集まったのでございます」

「なに。親しい友? ……そちに、どんな親しい友があるのか」