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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页

青空文庫

分野

常陸、下総を両岸にして、武蔵へ流れる他の諸川と、上総の海へ吐かれてゆく利根川とに、この毛野川の末は、水口(今の水海道の辺)のあたりで結びあっている。

この大水郷を繞って、結城、新治、筑波、豊田、猿島、相馬、信太、真壁の諸郡があり、その田領の多くは――というよりは、ほとんどが、この地方の源平二氏の分野になっていた。一半は、将門の叔父たち――常陸の大掾国香、羽鳥の上総介良兼、水守の常陸六郎良正など、いわゆる平氏の族が持っていた。

もちろん、その中には、都の摂関家領や、社寺の荘園や、国庁の直接管理している土地や、たれの領とも知れない未開地などが、複雑に、混み入ってはいるが、要するに、勢力範囲といえる形になっており――また、いうまでもなく、将門の亡父良持が、遺産として、将門以下の遺子たちのために、三叔父に托しておいた田領の面積が、少なからず加わっている。そして、それが、今ではそっくり、叔父三家の物となってしまい、所詮、黙っていたひにはいつまで、返してくれそうもない。

分野の、もう一半はというと。

これは、新治郡大串に住む源護に属する所領や管理地であった。