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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页

青空文庫

て来ねえのが、大部分だというじゃねえか。――その結果は、自暴と不平の仲間や、土地を失い、故郷を追われて、うろつき廻る百姓や、ばかばかしいから、やりたい事をして送れと、ごろつき歩く遊民だの、淫売だの、苛税の網の目をくぐりそこねてつかまる百姓の群だの、そして、おれたち八坂組の仲間のように、悪いと知りつつ、世の中に楯ついて、強盗でも切り盗りでも、太く短く、やって生きろと、悪性を肚の本尊に極めこんでしまう人間も、うじゃうじゃ出て来たということになっちまったのだ」

不死人の雄弁は、急に、ぷつんと、口をつぐんだ。

「な、なにか?」と、すぐ怪しんで、浮き腰立てる仲間たちを、彼は笑って、かたわらの小次郎の頭の上へ、自分の大きな掌のひらを載せて、つかむように、揺りうごかした。

「童。てめえは今、大きな眼をして、おれの顔を見たな。おれたちの仕事を知って、驚いたのだろうが。……いいか、仕込んでやるぞ、てめえにも。あしたから俺の手先になって、その道を、覚えるがいい。大臣も関白もあるものか、藤原の一門が、この世を我がもの顔の栄華をやるなら、こっちも、暗闇に、醜原の一門を作って、奴らに、泡をふかせてやる。