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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页

青空文庫

楽土

この日に、彼はまた、はからずも大酔のあとで、生涯の大失態を演じてしまった。

失態といえば、弱冠の帰郷以来、将門の生活は、ほとんど、次から次へ、失態の連続ばかりやって来たようなものだが、この日の失態だけは、取返しのつかないものとなった。終生、いや千年の後までも、そのために、彼としては所謂のない、そして拭いようもない憎しみをこの国の人々から受けてしまうものとなった。

なぜならば、彼は、肚ぐろい一分子と、酔狂な周囲の者から、無理に、天皇にされてしまったからである。

楽土

大宝八幡の地域とか、宮前町の戸数や概況が、どんな程度の土地であったかは、今では、想像に拠るほかはない。

地理的にいえば。

真壁、結城、新治と、三郡の境にあたっている。現今の小貝川をへだてて、筑波山麓の石田ノ庄(以前、大掾国香の邸宅地)があり、またすこし東南の街道には、大串(以前、源護一家)があった。

こう見てくると、この辺が、数郡の中心をなす国庁の所在地であったことが窺われる。また、かつては源護一族や、大掾国香のような豪族を始め、多くの府官の邸宅、屯倉、民家なども軒を並べていたにちがいない。