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にっき
日記
宮本 百合子
14 一九二八年(昭和三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,758 字 · 118 页
十二月六日
・齟齬に満ちつつ、屡※(二の字点、1-2-22)それにしてやられつつ、猶人生を愛する心持。=細かくそれに近づいて視、どこにもつれがあり、何故これ等の齟齬は生じ、生じた齟齬を通していかに人は生きるか。
・人間が人間に及ぼす力は「尤な理屈」ではない。故に「尤なこと」ばかり話し合うような友しか持たぬ奴は、つまり自分と自分の理性とでしか生きて居ぬと同じだ。一人と同じに貧弱だ。透明でわかりきった「尤な」硝子のなかに宝石はない。
〔欄外に〕
*例えば英男が自分のうちに生きて居る力は彼のまだ若冠なる尤もさではない。尤さに対した彼の云うに云えぬ純情さにある。或は彼のただ青年らしき笑いのうちにあった。
*或ものが実在するということは巨大なる安心だ。=そのものの価値を認めないまでに人は安心する。
夜は、Yのところへ泊った。
十二月六日(木曜)
メイエルホリドへ行って「森」を見る。一人で芝居を観るのロシアへ来てから始めてなり。変だ。感情が一寸影響される。(コレハわるい。独りでたっぷりして居なければならぬ)然し、面白い。なかなかまとまって喜劇の明るい、思い切った表現をして居る。