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にっき

日記

宮本 百合子

14 一九二八年(昭和三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,758 字 · 118 页

青空文庫

十一月二十二日

十一月二十四日

十一月二十二日

午前四時すぎ、カルタをして帰る。

○もう消えて居る街燈

○角に馬車が居る、御者いねむりをして居る。

○黒外套に黒プラトークの女が三四人居る。

――何をして居るんでしょう。

――七時から開くバターを買いに来て居るんだろう。

十一月二十四日

○三日ばかり前、急に雪が降った。浅いその雪が凍って、ヴル※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)ールの青草の根にのこる。

○五時すぎの月、緑、赤、紫、黄の円光が月のまわりにかかって居る。土曜日の寺の鐘の音が、その月の輪に入ってふるえた。

○七時頃、月は中天に高い冬の月。

○電車停留場で十五分電車が故障した。

○Р・К・К・フロートの水兵が外套の背中に二筋のリボンを下げて

――二十四番はここへ止りますかね

顎骨のはった耳の高くついた顔に地方からの風がのこって居る。

――何番?

片手ない爺、だらりと古外套を着て、右手に火のついて居る煙草とヴォクルーグ・スウェータ〔『世界をめぐって』〕をもって居る。

――二十四番、あっちへ行くんだが

――じゃ、そっちだ、今十八番の止ってるところ、

○鳥打帽をかぶって白まがいアストラハンの外套を着たコムソモールか、新聞包みをかかえて、カタカタ足ぶみをして、自分の手の爪をじっと見て、彼方へ行った。