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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页

青空文庫

たれの物に」

「叔父たちや、叔父たちの息子の物に」

「ば、ばかな」と、小次郎は、笑い出しそうに――しかし、ちょっと、不安な眉の翳りを見せながら、吐き出すように、自分へ否定した。「そんな事が、あるものじゃない、そんな事が。――家の後継のおれはいないし、おまえ達は、幼かったから、叔父共三家で、おれの帰るまで、預かっていてくれるのだよ。そういう約束になっているのだ。おれが帰って来たからには、当然、おれに返してよこすさ」

「けれど……。そうではないと、人が、いいます。みな、勿体ないことだ。ひどい横領事だと」

「それは、他人の妬みだろう。何しろ、広大な田領だから、官へ租税を納めても、余る収入は、莫大なものだからな。それは、十三年の間、叔父共が、おまえ達の養育料として、ふところへ、入れてはいたろうよ。……ああ、朝ッぱらから、つまらない話に落ちた。おれは、大結へ行ってくるよ」

「大結ノ牧ですか」

「む、む。牧の馬どもにも、おれの帰って来た顔を、見せてやるのさ……」

「馬とても、以前のような、良い馬も、馬数も、今はおりません。老馬、廃馬が、わずかに残っているだけです」

「馬まで、持って行ってしまったのか」