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たいらのまさかど

平の将門

吉川 英治

「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页

青空文庫

もう疑う余地などあるもんですか」

隆の言があたっていたことは、数日の後に、立証された。共に、失意となってみれば、この兄弟は、将門を憎むことに於いて、また、報復を期す目的に於いて、どこの兄弟仲よりも、急に、仲がよくなった。

「彼奴にも、家人郎党はある。うかつには、手が出せん。どうしてやろうか」

行ったら完全に将門の致命を扼すような策でなければならないと、二人は智恵をしぼりあった。だが、完全扼殺となると、にわかに名案もうかんで来ない。

すると、二月の末頃である。

石田の大掾国香から、使者が来た。書状をひらいてみると、こうあった。

――長らく在京中のせがれ常平太貞盛が、突然、帰省いたしました。

このたびの帰省は、新たに、右馬允に任官した歓びをこの老父に告げるためと、今春の御馬上せの貢馬を、東国の各地の牧に、下見するための公用の途次との事です。

ここわずか両三日ほど、郷家に旅の身を休める暇をもつのみとか。ぜひその間に、久々ぶり、お会いもして、四方のお物語りなど、日頃の思慕の想いを尽したいと、念じております。

お待ち申しあげる。どうか、おそろいにて、お立ち越しのほどを。