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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页
「ははあ、弟共の手兵だな」
将頼か、将平か、将文か。それともみな揃ってか。とにかく、おれを一心に案じて、協議の結果、やって来たにちがいない。ありがたい、うれしい奴らだ。それまでの心を無下に叱って追い返すこともない。――将門は知って知らない振りをしていた。
ところが、川西の野爪ヶ原にかかると、葭や芦や、また低い丘の起伏の彼方に、たくさんな弓の先が見えた。鉾の先もきらめいている。
「はてな? ……あれも、弟かしら」
鞍の上から、伸び上がった時、耳のそばを、ひゅっと、へんな音が掠めた。シュッ、シュッ――と、あたりの草むらへも、無数の矢が、矢音をこぼし、矢風に戦ぎ立った。
「やっ、身内じゃないっ」
将門は、仰天して、どなった。
「な、なんだろ。あの人数は、何か、人違いしているんじゃないか。おうーい、豊田の将門だ。間違えるな、おれは将門だが」
彼はまだ気がつかない。身は、平日の狩衣である。矢の一つもうけたらそれまでなのに、彼は、まだ、わざと標的になるように、手を高く振りぬいている。
何たる愚鈍な兄。お人よしな兄。
むしろ、敵の伏兵よりも、それに腹が立ったように、うしろから、鉄甲武者が二騎、