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たいらのまさかど
平の将門
吉川 英治
「小説公園」六興出版社、1950(昭和25)年新春号~1952(昭和27)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 232,193 字 · 463 页
ただ、そうまで、行く末を考えてしていたことが、今日、こういう結果になったことを、宿命とはいったまでだ……」
「この不幸の中で、私も、今更、叔父上と喧嘩したくもありません。どうくやんでも始まらないことだ。それよりは、後々だが」
「さ。その後々が、容易でない。早くも、あちこちの荘園やお家の私田まで、豊田の将門へ、奪われている。たとえば、野爪あたりの百姓も、以来、まったく、常陸源氏には、背をむけて、何につけても、豊田へ足をむけてゆく」
「それは、困った事ですな。手をこまぬいたら……」
「もちろん、両三年を出ないまに、石田の領は、何もなくなってしまうだろう。柱としていた石田が侵されれば、われらの水守や羽鳥も、将門めに、脅かされてくるのは当然。貞盛どの、しっかりしてくれ」
数日の後。――貞盛の名をもって、大宝寺では、大掾国香の葬儀が行われた。もちろん、将門は来ないし、将門に心をよせる者は、みな顔を見せなかった。
この葬儀の参会者の顔ぶれによって、およそ、敵味方の分類がはっきりついた。これは、偶然だが、葬儀のもたらした効果といえるものだった。
貞盛は、考えこんだ。なぜというのに、あんな愚劣なと、都では思っていた将門に、案外、味方する者の多いことが分ったからである。